鈍感な幼馴染

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 潤が知ったかぶったようなことを言うのを徹大は黙って聞く。 「もうしばらく瑞樹は俺が預かっといてやるから、徹大、おまえはもっと考えろ」 「考える?」 「瑞樹とどうなりたいのか」  ――瑞樹と、どうなりたいか。  それから潤と酒を飲み、しばらくして別れた。  潤は今から瑞樹が待つ家に帰るというのに、徹大が無人の家に帰るのは、腑に落ちない。  瑞樹に操なんか立てたくない。  そんな思いでスマホからすぐ会えそうな女に連絡を取る。  その女は一人暮らしで、今から来てもいいと言う。  徹大は瑞樹への罪悪感は見ない振りをして、その夜、女を抱いた。  徹大が瑞樹の気持ちに気付いたのは、中学生の時だ。  瑞樹の熱い視線からは、言葉はなくとも徹大への恋心が溢れまくっていた。  気付かれていないと思っている瑞樹が可愛くて、わざと目の前で他の女の話なんかをする。  瑞樹は途端に悲しそうな顔をするが懸命に堪えていた。  徹大と同じ高校を志望していると母親から聞いた時は驚いた。  瑞樹は徹大と違い、真面目な優等生で、県内一の進学校を狙える程の成績の持ち主だった。
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