鈍感な幼馴染

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 瑞樹と離れて一ヶ月が経とうとしている。 「今和泉、やる気がないなら辞めてもらってもいいんだぞ」  スタッフルームには店長と徹大だけがいる。  今日も失敗ばかりだった。  失敗続きでせっかく付いた固定客数人に担当替えされてしまった。  クレームになって代金サービスしたは給料から天引きだ。  おまけに今日もまた発注ミスをやらかしてしまった。  徹大も自分が悪いと分かっているので反論すら出来ない。 「もしまたミスしたら、その時は最悪解雇だから、そのつもりで」 「はい。ご迷惑かけて、申し訳ありません」  深く頭を下げる徹大の横を知らん振りで店長が通り過ぎ、店内へと戻る。  今日解雇されなかっただけましだった。 ――気を取り直して頑張らないと、瑞樹が帰ってきても……。 「あっ……」  徹大は自分の本当の気持ちにようやく気付いた。 ――ああ、俺はやっぱり……。
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