鈍感な幼馴染

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 瑞樹にキスをした徹大だが、だからといって瑞樹を好きという訳ではなかった。  ただしたかったから、しただけ。  それ以上もそれ以下もない。  瑞樹には申し訳ないが、その時の徹大には一凛しか見えていなかった。  瑞樹の気持ちなど気遣うことなく、徹大は高校卒業し、地元を離れた。  新しい土地。新しい生活。美容師になるため学校に通う日々。  そして、新しい人との出会い。  はっきり言って徹大の地元は田舎だ。  程々の地方都市だが、越してきたこの街に比べるとやはりイケてない。  それは女子の質にも言えた。  あんなに可愛いと思っていた一凛だが、美容専門学校に来ると同レベルの女子が山程いることに驚いた。  そして並外れたイケメンである徹大。  そんな徹大を女子たちが放っておくわけもなく、徹大はハーレム状態となる。  彼女がいるからと言っても、強引な女子たちの押しの強さに押し切られ、とうとう徹大は浮気をしてしまう。  一度箍が外れたら、後は何回やっても同じだった。  まだ十九歳と若い徹大に貞操観念を求めるのは酷かもしれなかった。  それでも徹大は一凛とは別れなかった。  彼女は彼女。セフレはセフレ。  徹大なりに一凛を愛していて、いずれは結婚しようと考えていた。
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