鈍感な幼馴染

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 そんな乱れた生活を送りながら、専門学校に通って二年目の春。  瑞樹がこちらの看護専門学校に入学した。  地元を離れ、徹大を追い掛けてきたのだ。  瑞樹の執念に、徹大は呆れた。  お互い目指す職業があり、その勉強で非常に忙しかった。  それゆえ、専門学校を卒業するまでは同じ街にいながらもあまり会うことはなかった。  そして卒業と同時に徹大は一凛と別れた。  卒業する頃は既に浮気心は落ち着いていた。  それまで学生寮に住んでいた徹大は、一凛と同棲するつもりで部屋を借りていた。  しかし既に一凛の気持ちは徹大から離れており修復は難しかった。  将来を誓い合うにはまだ二人は若すぎたのかもしれない。  戻れない学生寮。借りてしまった部屋。一人では払えない家賃。  一凛との別れは、特に辛くはなかった。  徹大は最近は嫉妬深くなり過ぎた一凛に少し辟易していた部分もあり、清々したのが正直な気持ちだ。 「さて、どうすっかなあ、あ」  ふと思い浮かんだのが、瑞樹だった。
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