嫌いになれない幼馴染

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 徹大と瑞樹は小学生の時からの幼馴染だ。瑞樹が小学一年生の時、徹大の隣の家に引っ越してきてからの付き合いになる。  活発な徹大に、大人しい瑞樹。一歳違いの二人は、全く異なる性格だがなぜかすぐに意気投合した。小学生時代は放課後や休みの日、瑞樹は常に徹大と過ごした。 「瑞樹はてっちゃんの金魚のフンね」  お互いの親から揶揄われる程、徹大に懐いていた。徹大も懐く瑞樹をよく可愛がり、どこに遊びに行くにも連れて回った。  徹大は勉強はあまり得意ではないが、とにかくスポーツ万能だ。小学校六年間は、毎年運動会で学年対抗リレーアンカーを務めるほどだ。  背が高く、カッコいい顔立ち。明るいお調子者だが、意地悪などしない優しい性格。男女問わず、徹大は人気者だった。  瑞樹はこんなに素敵な徹大と特別に仲が良い自分を、密かに誇りに思っていた。  これで女子にモテない訳がない。バレンタインは、学年半分の女子からチョコを貰うほどだ。当然告白なんかは日常茶飯事。しかし小学生の徹大はまだ色気づいてはおらず、男友達と遊ぶことを優先していた。  瑞樹もずっと徹大と一緒にいられると思っていた。
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