鈍感な幼馴染

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 やけに自信満々な潤に言いくるめられ、徹大はクローゼットに身を隠す。  いくら人一人分余裕を作ってくれたとはいえ、物音を立てずにじっとしておくのは至難の技だ。  しばらくして潤と瑞樹がリビングにやってきた。  久しぶりに聞く瑞樹の声。  寝起きだからか少し枯れ気味だ。  潤がわざわざ日曜日に出掛けて買ってきたお菓子に、瑞樹が嬉しそうにはしゃいで喜んでいる。  そんな声を聞くと、瑞樹が恋しいのは徹大だけではないかと思ったりもする。  潤と瑞樹は、クローゼットの真ん前にあるソファに並んで腰掛け話している。  しばらくは楽しそうに会話をしていたが、瑞樹が潤の彼女の話に触れてから雰囲気がおかしくなる。 「きっとてっちゃんは俺をキモいって思ってる」 「俺、男だし。てっちゃんと同じ体だし。てっちゃんは根っからの女好きだもん。俺を抱ける訳ない」  徹大は瑞樹の発言に「そうじゃない」と反論して飛び出したかった。  やはり何も瑞樹は分かっていないのだ。
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