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確かに男の瑞樹を抱くことは躊躇したが、それでもキス以上のことをしてきたのは、好意があったからこそだ。
しかし潤の言葉に、徹大は固まる。
「俺が抱いてやる」
「好きだ、瑞樹」
――何言ってんだ、潤の奴!
徹大の目の前で、潤が瑞樹を口説きだしたではないか。
しかしこれは演技だと思い直す。
瑞樹の気持ちを確かめると言っていたからだ。
飛び出したい気持ちを精一杯堪えていると、潤の「もっと、していいか?」という声が聞こえてきた。
――あいつ、キスしてんの?
徹大の心に、初めてどす黒い何かが沸き起こる。
――俺の、瑞樹に。
「あ、ん」
瑞樹も感じているのか、可愛らしい喘ぎ声を上げている。
――瑞樹は、潤を好きなのか?
確かに潤は優しい。
恋人と長続きはしていないようだが、徹大のように浮気をしたり、不特定多数と付き合ったりなどしない。
浮気症で傲慢な徹大より、真面目で誠実な潤を瑞樹が好きになっても仕方がない。
潤が瑞樹の気持ちを確かめると言ったのは、徹大の目の前で潤を選ばせるのを見せつけることだったのだろうか。
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