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「金沢さんが殺された件についての話なんですが」
探偵の原田が重々しく口を開いた。
「確かに金沢さんを殺したのは、青木さん。しかし、青木さんを裏で操っていた人物。そう黒幕がいると僕は思うんですよ」
「それ、私も薄々感じていたわ」
「あぁ、俺もです」
探偵の言葉に次々と賛同の言葉が上がる。
そのことに気づいていたのは、どうやら探偵だけではなかったようだ。
「青木さんは確か、事件について語ったとき。殺すつもりはなかったと言いましたよね?」
「そうだ。俺はあいつを殺したくなかった。殺人鬼なんてなりたくなかった。なのに、この手を血に染めてしまったんだ」
青木が青ざめた顔で、探偵の言葉に答えた。
「この事件の真犯人を許せない」
誰かがぽつりと呟いた。
「そいつさえ、いなければよかったのに」
誰か便乗して呟く。その声に答えるように探偵が口を開いた。
「真犯人は......」
そして、指を指す。こちらへ。
「この物語を書いた。あなたです」と。
そして、言葉を続けた。
「僕もあなたを許せないです」と。
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