1人が本棚に入れています
本棚に追加
その理由は俺にも良くは分からなかった。
ーーくそっ! 何故、俺には彼女が出来ないんだーー!!!?
誰か俺の童貞を貰ってくれ~!!ーー
そんな心の叫びが、俺の中を木霊する。
だが、俺が苦しさと悲しみから砂浜の砂地を涙目になりながら、両手を叩き付けていた最中、不意に加山が俺の後ろに立ちながら声をかけてきた。
「あのな~縁無氏……。 幾ら彼女が居ないからってビーチであんな事を叫んだら駄目だぞ?」
(あんな事……? 叫んだ……?
一体、何の事を言ってるんだ加山のヤツ?)
俺は加山の言っている言葉の意味が分からず、首をかしげる。
そんな俺の様子を見据えて、加山はマジかよ?と溜息混じりに言った。
「お前、さっき、何で俺には彼女が出来ないんだ~!?って叫んでたんだぞ?」
「え……!? マジで?」
「あぁ…後、童貞を……。」
「あ!? ス、ストップ、ストップ!
分かった! もう分かったから。
しかし俺そんな事も言ってたんだな!??
まいったな~本当に?」
俺は必死に加山の言葉を止めた。
「そうか…まぁ、俺も正直こんな事、口走りたくなかたからな。
何にしても、程々にな?」
「あぁ、分かってるよ!」
俺は辛うじて微笑みながら、加山に右手を振りながらヤツと別れる。
だが、その直後、急激に俺の体は脱力した。
当然である。
心の内なる思いが声に出ていた事が俺にとって、とてつもなくショックな事だったのだから。
しかし、それにしても……。
(な……何て事だ…?
俺が心の内なる苦痛を、ま、まさか声に出していたなんて!?)
これは致命的な汚点であると同時に、致命的な大発見と言える事柄であった。
何せ、この事が分かった御加減で、知らない内に女性達が俺から一定の距離を取っていたとか、俺が社内の女性達からセクハラ大使と影口を、叩かれている理由が今、明確になったのだから。
(そうか……ならば、あの時の「◯◯◯ちゃんとスレ違った時に思った◯◯◯ちゃん、いい尻してるな是非、◯◯◯ちゃんとセック◯したいぜ!」とか、
「あぁ、ドラ◯ンボー◯があったら酒池肉林やハーレムの夢を叶えたい!」とか、「ぉぉ! パイでっけー! 俺の子供を孕ませてやるぜ!!」とか……あの妄想の数々を俺は、言葉にしていたと言うのかぁぁぁぁぁぁ!!?)
最初のコメントを投稿しよう!