報告二 童貞刑事と美貌の上司

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 昭和の臭いが拭えない、安普請のラブホテル。狭い室内は、ほとんどベッドで占領されていた。  その大きいだけのベッドが、ギシッと軋んだ。 「だ、ダメです……管理官……」  古くて硬いベッドに、大輔が押し倒されている。  穂積に――。  大輔に馬乗りになった穂積は、弱々しく抵抗する大輔を嬉しそうに見下ろし、所轄署ではまず見かけない高価なジャケットを脱ぎ始めた。 「こんなこと……俺には、晃司さんが……」  大輔の抵抗はひどく弱い。ダメだと繰り返しながら、ゆっくりと焦らすように服を脱ぐ穂積から、目を離せないでいる。  穂積は無言で微笑みながら、ジャケットを床に落とした。 「……先輩には、絶対に内緒にするよ?」 「そういうことじゃ……俺、晃司さんを裏切れません……」  大輔は今にも泣き出しそうだった。きれいな目に涙が滲んでいる。  それは、最愛の恋人を思って浮かんだ悲しみの涙にも見えるし、目の前の憧れの男に欲情し、熱に浮かされているようにも見えた――。  いずれにせよ、その目は穂積を煽るだけだろう。  穂積の薄茶の瞳が、妖しく燃える。 「じゃあ……こういう風にしたら?」  穂積は上品なストライプのネクタイを外し、首元から引き抜いた。そして動けないでいる大輔の両手を掴むと、そのネクタイで大輔の両手首をまとめて縛った。 「管理官?!」 「こうすれば、大輔くんは俺に襲われたことになるよ? それなら、大輔くんは悪くないでしょ?」  とんでもない悪巧みを、穂積は可愛いイタズラのように言いのけた。 「これで、大輔くんはもう逃げられない」 「管理官!」  穂積は、しばった大輔の両手を大輔の頭上に押さえつけた。  そしてそのまま上体を倒し、大輔に顔を近づけ――キスをした。 「……か、かお、るさ……んんっ」  最後の抵抗をする大輔に、穂積は容赦しなかった。  やっと捕まえた獲物を逃がすものかと、キスは最初から飛ばした。  乾いてサラサラして気持ちよい唇を、強く吸う。想像した通り大輔の体は敏感で、それだけでビクッと震えた。  しかし大輔も中々強情で、穂積が舌を差し入れると両手が暴れた。穂積はその手を強く押さえ込み、大輔に乗せた体の全身を使って、大輔の動きを封じる。
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