137人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
外観がボロボロのソープ店は、内装はもっとやばかった。
突如現れた、メガネをかけた野暮ったい美少年に助けを求められ、桂奈たち異色の警官トリオは薄汚いソープ店に突入した。
そこは、昭和の時代からまったく変わらない、古臭いソープ店だった。
北荒間でも最古参のソープ――ストロベリー・バス。
いつも、還暦をとっくに超えた老年ボーイ兼店長が立つ狭い扉を潜ると、狭くて暗い待合室があった。ヤニで茶色く染まった壁紙も、ところどころ破れた黒い革のソファーも、とにかくボロく、古く、汚い。
桂奈は何度かこの店を訪ねたことがあるが、それでもいつも顔をしかめてしまう。
(き、きったなぁ~)
初めての二人――穂積と井上も、同じ顔だったろう。後ろにいる二人を確認せずとも、桂奈にはわかった。
「……あんた、荒間署の!」
汚さにウンザリした桂奈の顔が、さらに険しくなる。
ボロボロのソファーに座った、口髭を生やした黒服の老齢店長。その彼の前に、ボクサーパンツだけの若い男が床に正座させられていたのだ。
「お巡りさん! あいつが俺の友達です!」
桂奈たちに助けを求めた、メガネの美少年が叫ぶ。
「ナオヤ!? なんでお前、戻ってきたんだよ!」
「なんでって、シュウイチのこと、置いてけるわけないだろ!」
メガネの美少年――ナオヤが、パンツ一丁のシュウイチに駆け寄り、抱きつく。
(あら?)
桂奈がときめいたのは言うまでもない。
ナオヤは雰囲気はダサいが、顔立ちは可憐であるし、パン一のシュウイチも顔こそ平凡だが、その体躯はなにかスポーツをしているのか、正座していても逞しかった。
(……アリよ)
桂奈は顔には一切出さず、不埒なことを考える。
ソーッと後ろの穂積を窺う。ナオヤは華奢すぎて穂積のタイプではなさそうだが、シュウイチの方はどうなのだろう、と気になってしまう。
シュウイチはいかにも体育会系の、童貞臭があるが――。
最初のコメントを投稿しよう!