報告三 ワイルド刑事と童貞刑事と美貌の上司

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「ねぇ、シュウイチ……いっつも北荒間で、女の子とHしてたんじゃないの? シュウイチは北荒間で百人斬りだって言ってたよね? それなのになんで、北荒間のこと詳しくないの?」 「え?! そ、それは……」  シュウイチは、店にいた時からどうにも歯切れが悪い。  桂奈は首を傾げ、シュウイチを見つめた。  先に感づいたのは、井上だった。 「……あんた、風俗初めて……つうか、童貞じゃね?」  ブホッ。汚い鼻息を響かせたのは、桂奈――ではない。  桂奈が音の方を振り返ると、腕を組んで澄ました顔の穂積が、わざとらしく咳払いした。 「シュウイチ、童貞なの?!」 「はぁ?! ど、童貞じゃねぇし!」 「ウソだ! だったらなんで、北荒間のこと全然知らなかったの?」 「北荒間に来たことあるのはウソだけど……童貞、ではないからな!」  シュウイチの童貞を巡る口論は、しばらく続いた。  それを眺める桂奈は、確信した。  シュウイチは――童貞、である。  ムキになればなるほど、シュウイチの汚れのなさが目立った。桂奈は毎日、北荒間で鼻の下を伸ばしたスケベ男たちを見ているのだ。  きれいな若者は、北荒間に似合わない。 「余計なお世話だと思うけど……あんまり問い詰めないであげたら? 君たちの年なら、同じ年の友達には童貞じゃないって言いたいんじゃない?」  桂奈は苦笑いして、可愛い見栄を張ったシュウイチを擁護した。  シュウイチは決まりが悪そうに、口を尖らせて俯いた。その目元が赤いのが、なんとも可愛らしい。  ナオヤは、友達を傷つけてしまったと申し訳なくなったのか、俯くシュウイチを不安そうに覗いた。 「シュウイチ、ごめんね。俺……シュウイチが童貞で嬉しかったんだ……」 (んんん?)  二人を微笑ましく見つめていた桂奈の耳が、ピクピクっと反応する。 「嬉しい? なんで?」  シュウイチが不思議そうにナオヤを見る。  ナオヤは遠目にわかるほど、赤くなった。 「あ……」 「え……?」  真っ赤なナオヤに、シュウイチもなにか感じたのか――赤くなる。  (あらららら~)  桂奈はニヤける顔を隠すため、両手で口元を覆った。
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