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涙で濡れた赤い目を丸くしたまま、キョトンとした顔で壮太郎が俺を見た。
当たり前だろ?とか。
そんなことを考えてんのかな。
ふ、と息を吐き、笑顔で壮太郎の言葉を待つ。
早く、言って。
早く。
極め付けの、たった一言をさ。
「………………ーーーーーー、」
壮太郎の真面目な目が、俺を見る。
同時に打ち上がった花火の色が映り、綺麗な緑色が見えた。
「ずっと、親友でいてくれ」
ドォン……と鳴り響く音に、心臓が震える。
「うん、分かった」
そう答えた自分は、きっと自然に笑えていただろう。
俺は今日、失恋した。
8年間の片想いはここで幕を下ろす。
後悔は、ない。
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