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失ったと思っていたものが、この手に戻って来た。
それは少しだけ形を変えて、信じられないことに邪な感情を抱いている俺を受け入れてくれるらしい。
ーーーーそれがどういう事か、分かっているのはきっと俺だけだと思う。
親友に対する独占欲を強く自覚した今の壮太郎には、きっと分からない。
気付かない。
気付けない。
想いをすり替えた代償がどんなものなのか。
それに気付いた時、きっとまたお前は後悔するんだろう。
だけど、俺は。
正直、嬉しいんだよ。
お前の想いが俺とは違っても。
それがどれほど悲しくて、どうしようも出来ない程虚しくてもさ。
それでも、嬉しいんだ。
恋をして馬鹿になった男ほど、救いようのないものはない。
けれど、それがどんなに愚かな行為か自覚しているから。
だからーーーー今だけ、幸せに浸ってもいいでしょ?
例え仮初めの幸せだとしても。
それでも俺は、満足だよ、壮太郎。
だって。
きっとこれが、最初で、最後の恋だから。
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