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ソルベは、名うての盗品ブローカーだった。
他人の持ち物なら、金は勿論のこと、車、家、ペット、家財道具一式、庭に咲いた花や道端の地蔵、カツラや入れ歯まで、何でも盗んでは売っていた。
しかしそれも少しマンネリ化してきて、何かドカンと大儲けできるようなものがないかと考えた。
「そうだ、あれを売ろう!」
「なるほど、地球という惑星を買い取って欲しいということですね」
「そうなんです。そろそろ新しいのに買い換えようと思って」
宇宙電話の相手は、宇宙の買い取り屋、ガロ星人だった。
地球は誰の者か?
皆のもの?
それは誰も所有していないのと同じである。
ソルベは勝手に理屈を付けて、考えた。
なら俺が貰おうと。
ガロ星人が買い取った後、一体地球がどうなるのかわからないが、その時はソルベは隠れ家の星に高飛びしているので、問題なしだ。
「では少々お時間を頂きます」
そう言って電話は切れた。
後日。
ガロ星人から見積もり書が送られてきた。
それを読んでソルベは、腰を抜かした。
安い。
あまりに安すぎる。
見積書の最後には、こう書いてあった。
『扱い方が雑すぎます。状態の悪い中古はあまりコレクターの方に人気がないのですよ』
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