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俺は早いうちに接触をしようと試みて、その日は学校を早退して黒瀬凜太朗の大学の前で張ることにした。
そう……大学生の困るところは未確定の時間帯に終わること。
俺のような高校生は何時に終わるとかがはっきりしているが、大学はそうはいかない。
黒瀬凜太朗が、何時に終わるのか分かっていればかなり俺としては有り難かったのだが……母親は息子には興味が無い。そんな情報を持っているはずが無いのだ。
最初は、大学の正門前で待っていたのだが……色々な人に話し掛けられて少し見えにくい所に移動した。
話し掛けてきた人の中で有力な情報を持っている人が居れば良かったのだが……黒瀬という名前を出しても知らないと言われるのがオチだった。
目を凝らして大学の正門を見つめていると……ターゲットらしき人影を見つけた。
―――お、やっぱり……黒瀬凜太朗だ。隣にいるのは、目付きの悪い男。
でも、黒瀬凜太朗に対する瞳は……優しそうだった。
彼はその男に手を振り、自分の家の方に向かって行った。
俺は慌てて彼を追い掛けた。
彼の歩いて行く方向をついて行くと……家の方角ではない方に歩いて行く。
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