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この番号は仕事用にと配付されたスマホ。
勿論、俺の名前は『翔』となっている。
「……しょう、君?」
本名が翔汰なので、少しドキリとしながらも訂正を入れる。
「かける、って読みます。」
「あ、そうなんですか。すみませんっ…!間違えてしまって……」
「気にしないで下さい。よく間違えられますので。……貴方は、黒瀬さんって言うんですね。黒瀬凜太朗さん。」
もう既に知っている名前を入念に呼ぶ。
「それじゃあ、俺…連絡したくなったらしますんで。……ちゃんと出て下さいよ?それで、もし良ければ……黒瀬さんの方からも連絡してくれれば。」
「あっ……はい。」
「じゃあ、また。」
そう別れを告げると、俺は姿を消した。
―――彼の反応を見る限り、悪くは無いと思う。
脈アリな反応を常にしてくれたし……若干、警戒している素振りは見せてはいるものの、優しい性格上、俺を突き放したりはしないと思われる。
「あ、もしもし?黒瀬さんですか?息子さんとの接触に成功しました。これから徐々に距離を縮めていきます。」
そう連絡すると、母親は嬉しそうに笑った。
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