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別に、彼の事がもう既に好きだとか……そういう事では無い。
見ず知らずの人と……何か自分の好きな物が被った時の嬉しさ。
そんな、嬉しさと幸福感が確かに俺の中に芽生えた。
映画を観終わり、原作を知っている同士なので話も弾む。
いい時間帯にもなっていたので、お昼はどうかと自分から提案する。
行きたいと張り切った黒瀬凜太朗にパスタを勧め、行きつけのパスタ屋へと向かった。
注文をお願いしてから、俺はもう一度彼を品定めするかのようにジッと見つめた。
―――確かに平凡な顔だと思う。……けれど、何処か可愛らしさがある。守ってあげたくなる。コロコロと変わる表情が……良い。
「えっ!?…な、ななな何っ!?」
見られているのに気付いたのか、顔を真っ赤にさせて慌てた様子で俺に問いかける。
「……俺、黒瀬さんのこと…知りたい。」
思わず出た言葉に自分でもびっくりしながらも平静を装う。
「えっ!?」
「……ねぇ、何でずっと敬語なんですか?」
「え…何でって……翔君だって、ずっと敬語じゃないですか!」
「いや……年上の人には、敬語使うべきでしょう?これ、世間の常識じゃないですか?」
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