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楽しそうに俺に質問してくる彼を少し虐めてやろうと、俺は言葉を放った。
「……そんな事言ったら、脈アリだと勘違いしちゃいますよ?」
「えっ…?脈アリ?」
ほら、やっぱり。無自覚だ。
「忘れたんですか?……俺、黒瀬さんに告ってるんですからね。」
ハッと気付いた様子の彼の顔……。ホント、分かりやすい。
「忘れてたって顔してる。」
「あのっ、いや……そんな事は……えっーとぉ…」
真っ赤になって顔を逸らす彼が……可愛い。
―――本能的に、そう感じた。
「…照れてるんですか?顔、真っ赤ですよ。意識したら、俺のことでも、見れなくなった?」
「はっ…早く食べましょ!さ、冷めますからっ!」
「はいはい。」
……あぁ、愉しいな。
食事代を黒瀬さんに払ってもらい、ショッピングモールで時間を潰してから帰るとなった時……俺はつい、告白の返事を聞かせて欲しいとワガママを言った。
普通の俺なら……こんなに焦ったりしない。
けれど……早く手に入れたかった。
「……いいよ、僕…翔君と付き合う。」
―――その時、もう惚れていたのかもしれない。
黒瀬凜太朗という……一人の存在に。
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