第4章

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しかし、黒瀬凛太朗の母親に大金を見せられた時……それは単なる勘違いだということに気付かされた。 母親に連絡を入れると、今すぐ一時報酬を与えたいから会わないかと提案され、俺は喜んでお金を貰いに行った。 「貴方の仕事ぶりは、本当に評価するべきだと思うわ。」 「あっ、ありがとうございます!」 「ということで、これ…受け取ってくれるかしら?」 「有り難く頂戴致します!」 目の前に差し出された封筒を頂き、中を確認させてもらうと…… 「えっ!?じゅっ…15万っっ!?」 思っていた以上の額に、俺は思わず声を大きくしてしまっていた。 「えぇ、10万でもいいかしらと思ったんだけど…この間たまたま息子を見かけた時ね、あの子が幸せそうだったの。明らかに。その顔を見て、貴方はちゃんとやってくれてるんだなぁと思ってね。だから、5万はボーナスよ。」 この時、俺は彼に対して何の罪悪感も無かった。 ただ、与えられる報酬に喜ぶ事しかしなかった。 「本当にありがとうございます!」 「これからも頑張って頂戴。…けど、これだけは忘れないで。……あの子は本当に私が嫌いだから、絶対に貴方と繋がっているのがバレちゃダメよ。」 「はい、分かっています。」
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