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あんなに待ち焦がれていたお金も……今は嬉しくない。
それよりも、母親が発した言葉の方が今の俺には聞き逃せないものだった。
「……離れる…準備?……ですか?」
「えぇ、そう。もう貴方は十分息子を愛す事を演じてくれたわ。そろそろ息子から離れてもらわないと……今後の息子に支障が出るわ。」
「……。」
「……そうねぇ、後3週間。貴方には3週間お願いするわ。別れてもらう5日前に、また会いましょう。その時にもう一度、息子の様子がどうかとか聞くわ。」
「……あの、そんなの急に言われても……」
「元々そういう約束でしょう?私が指定した期間、貴方には動いてもらう。じゃあ、また会いましょう。」
そう自分だけ言いたい事を告げると、そのまま母親は俺の話も聞かずに颯爽と去って行った。
「……どうすればいいんだよ…。」
―――最初はそれで良かった。
……でも、今は違う。
俺は……リンさんが好きなんだ。
リンさんの、心も身体も愛してあげるって……言ったんだ。
ただ……一緒に居たいだけなのに。
俺は、次こそ絶対に言おうと決めた。
―――お金はもう要らないし、一生かけてもお金は返しますから……リンさんを下さい、と……。
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