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「黒瀬さん、俺は貴方の息子さんが好きです。」
「……は?」
自分の声の音量なんて、気にする暇もなかった。
―――彼をどうすれば手に入れる事が出来るか、ということしか考えられなかった。
「確かに、最初は何も思っていませんでした。お金が貰えることしか考えていませんでした。……でも、今…目の前にお金を出されても何も思わないんです。ただ、彼が好きで好きで……お金は全て返します。だから、彼を……黒瀬凜太朗さんを俺に下さい!!」
そう言って、俺は目の前の母親に頭を下げた。
「……顔を上げて。」
「…………あの、」
「今すぐ帰って。お金はいくらでもあげるわ。だから、今すぐ私の前から消えなさい。」
「…!待って下さい!俺の話を……」
「ふざけないで。男の貴方に息子を渡すもんですか。早く消えて。お金ならここにあるから。」
「だから、俺はお金なんか……」
「いいから帰りなさい!!」
大きな声をあげた母親は周りを気にせず、俺にお金の束を押し付けるとそのまま俺を店から追い出した。
「ちょっ……」
「もう、二度と関わらないで。貴方の会社には何も言わないから。」
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