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そんな俺の表情を見逃さなかったのだろう。
「泣きたいの……こっちだよ?ねぇ、翔君……」
「お願い、もう問い詰めたりしないから今すぐ此処から出て行って。そして、連絡先も消して。何も無かった事にして。この、数ヶ月間……僕達は何も無かった。出会った事も無い。そう思って。」
―――お願いだから……そんな事言わないで。
―――俺を……捨てないで欲しい。
「……嫌、です……そんな事…俺には出来ない……。リンさんの事……忘れたくなんか、ない……」
ワガママだって、分かってる。それでも、リンさんを忘れる事は出来ない。
―――だって、リンさんは今の俺にとって……一番大切な存在だから。
「……止めてよ、名前でなんか…呼ばないでくれよ!早く……お願いだから…出て行って!」
「リンさんっ……」
「もう、顔も見たくない!!君なんか、大ッ嫌いだよっ!!」
『大嫌い』という言葉が……俺の頭の中に響く。
「サヨナラ、翔君。」
何も言えないまま、家から追い出された。
俺の瞳からは……涙が零れ落ちていた。
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