第5章

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「リン。」 「あ、シュウちゃん。」 「……もう、春だな。」 そう言って、シュウちゃんが桜を見上げた。 「……うん、そうだね。」 ―――あれから1年半が経った。 僕は、もう大学4年になり……周りは就活に忙しい。 僕はというと……就職するか、院生になるかまだ悩んでいた。 ―――こんな大学4年になってまで、まだ悩んでいるのなんて……きっと僕ぐらいだろう。 でも、シュウちゃんは『ちゃんと悩んで決めろ』と言ってくれたから……、僕は最後まで悩もうと思っている。 そのシュウちゃんは、もう既に就職先も決まっていて……正直、大学には来なくてもいい状況だ。 でも……。 「お前とな、まだ一緒に居てぇからな。」 そう言って笑ったシュウちゃんが……カッコ良く見えて、あ…シュウちゃんは元々イケメンだからそう見えても仕方ないのかも。 「……フフッ…ありがと。シュウちゃん。」 「あ、今日は入学式なんだっけ?」 シュウちゃんがそんな言葉を発しながら、真新しいスーツを身に付けた新入生らしき人達を見つめる。
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