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―――それから、彼は僕の前に姿を現さなくなった。
彼は……常に誰かに囲まれていて、大学でもモテっぷりが明らかだった。
―――そうやって、少しずつ僕の事を忘れていってくれればいい。
彼の周りには、イイ人が沢山居るんだから。
女の子なんて、選び放題でしょ?
―――だから、もう迷わないで欲しいんだ。
僕が好きだなんて……一時の気の迷いに過ぎないのだから。
僕は、そんな事を考えながら行きつけのバーで一人寂しく呑んでいた。
―――ってか、彼が来なくなってから……こんなにも彼の事ばかり考えてる自分って、本当に女々しいし矛盾しているなと自分でも思う。
「……ココ、空いてますか?」
「…え?あぁ、…空いてますけど……」
他にも席は沢山空いているのに……わざわざ僕の近くに来るなんて変な人だなぁと思い、その顔を覗き込むと……
―――うっわ……すっごいイケメン…………
「あ、じゃあ……隣、いいかな?」
ニコッとはにかんだ目の前の人物は……本当に顔が整い過ぎていて、僕は少したじろいだ。
「あっ…どうぞ……」
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