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―――聞きたかった……でも、聞きたくなかった声が…僕の名前を呼んだ。
「……相澤、君……」
「……っ!…ど、どうしたんですかっ!?その男……誰ですかっ!?」
彼は少し焦った様子で、僕に少しずつ近付いてきた。
「……いや、別に……」
「あれ?知り合いなの?あー、…じゃあ、知り合いに送ってもらった方がいいのかな?黒ちゃんもそっちの方がいい?」
「……黒ちゃん…?」
その彼の声には……ドスが効いていた。
―――いやいやいや、ココで彼と二人っきりになるなんてゴメンだ!!
「いやっ…!菅原さんにお願いします!」
「えっ…?でも、さっきまで……」
「いいからっ!早く行きましょう!!」
そう言って、僕は菅原さんの腕をグイグイと引っ張った。
「えっ……ちょっ…黒ちゃんっ!?」
「待って!リンさんっ!!」
また呼び止められて……僕はどうして足を止めてしまうんだろう。
「……何?」
―――後ろは振り返らず、声だけで反応してみせる。
「……その人が、リンさんの好きな人?それとも……」
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