第5章

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「そうだよ。それがどうかした?」 ―――あくまでも淡々と、僕は応える。 ……決して、声が震えないように。 「……それでも…」 彼の声が、震える。 「俺はっ…!!リンさんが好きです!!大好きですっ!!!」 夜の道のど真ん中。 彼が恥ずかしげもなく、叫ぶ。 「……っ…!」 けれども僕は、振り返らずにそのまま歩き続けた。 「……いいの?彼の事、あんな風に無視して。」 「……いいんです。」 「じゃあ、何で泣いてんの?」 「……えっ…?泣いてる……そんな事……」 自分で、頬を伝う涙を拭う。 「……あはっ…何で泣いてんだろう……ごめんなさいっ…」 ゴシゴシと、服の袖でとめどなく流れる涙を拭っていると……菅原さんに腕を掴まれた。 「……そんな強く擦ったら、痛いだろ?目にも悪い。」 彼の指が……僕の目尻を優しく撫でた。 「……ふっ……っ…、」 「泣きな、俺が慰めてやるから。」 ―――その声は、僕の固まった感情を解してくれるような優しさを持っていた。
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