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結局、菅原さんに家まで送ってもらい……僕の涙ももう既に収まっていた。
「…ねぇ、連絡先交換しない?」
「……。」
「俺さ、どうしても黒ちゃんのこと忘れられないよ。仕事にも身が入らなくなる。」
「……その言い方、狡くないですか?」
僕が困った様子で聞き返すと、菅原さんはフッと口角を上げた。
「…そうかもね、でもそこまでしても君の事をもっと知りたいと思ったし……何より俺が会いたいんだ。黒ちゃんに。」
―――真っ直ぐな言葉に……僕はつくづく弱いと思う。
僕を真っ直ぐ見つめる菅原さんの瞳は……綺麗に澄んでいて、嘘を言っているようには決して見えない。
けれども……。
「僕は、一度……裏切られてます。もう、初対面の他人を信じるって事は……僕には出来ないんです。」
正直に言った。回りくどい事をしても無駄だという事も僕は知っている。
「……じゃあ、時間を掛けて知ってくれればいい。俺が、黒ちゃんに一目惚れしたって事。そして、もう既に、かなり好きだって事。」
「……菅原さん…」
「ほら、そうと決まったら連絡先交換しよ!」
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