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「あ?何だって?」
僕がボソッと呟いた言葉が聞き取れなかったのだろう。シュウちゃんが不機嫌な様子で聞き返す。
「……いや、何でもないよ。連絡は少なめにしてくれるって。」
「ふーん……ちゃんとお前の意思を尊重してくれる奴なんだな。」
「そりゃあ、あっちは会社員だからね。常識はあるだろうし、一見チャラく見えるけど…しっかりしてる人だから。」
―――そう、あの人の凄いなって思う所は……初対面は話しやすいって感じさせちゃうのに、中身がしっかりしている為、いざという時にとても頼りになる所だ。
嫌がる事は一切しない、いきなりお兄ちゃんらしさを見せてきたりする。
―――そんな、菅原さんがとても狡いと思う。
だから、頼りたくなるんだ。
縋りたいんだ。
……僕を、心から包んでくれるような人に。
けれど……決まって僕の顔に浮かぶのは、菅原さんでもなくシュウちゃんでもなく……。
―――彼、なんだ。
夢の中で優しく微笑むのも。
現実で、僕を辛そうに見つめる瞳も。
思い浮かぶのは彼の全てで。
僕の中から消えない、あの温もりで。
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