第5章

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「あ?何だって?」 僕がボソッと呟いた言葉が聞き取れなかったのだろう。シュウちゃんが不機嫌な様子で聞き返す。 「……いや、何でもないよ。連絡は少なめにしてくれるって。」 「ふーん……ちゃんとお前の意思を尊重してくれる奴なんだな。」 「そりゃあ、あっちは会社員だからね。常識はあるだろうし、一見チャラく見えるけど…しっかりしてる人だから。」 ―――そう、あの人の凄いなって思う所は……初対面は話しやすいって感じさせちゃうのに、中身がしっかりしている為、いざという時にとても頼りになる所だ。 嫌がる事は一切しない、いきなりお兄ちゃんらしさを見せてきたりする。 ―――そんな、菅原さんがとても狡いと思う。 だから、頼りたくなるんだ。 縋りたいんだ。 ……僕を、心から包んでくれるような人に。 けれど……決まって僕の顔に浮かぶのは、菅原さんでもなくシュウちゃんでもなく……。 ―――彼、なんだ。 夢の中で優しく微笑むのも。 現実で、僕を辛そうに見つめる瞳も。 思い浮かぶのは彼の全てで。 僕の中から消えない、あの温もりで。
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