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彼を思い出す度、苦しくなるけど……それと同時に温かくもなるんだ。
―――分かってる。僕が、未だに彼の事を好きだって事ぐらい。
けれど、その感情に振り回されてはいけない。彼には彼の人生がある。
僕と関わったせいで、彼は自分の道を間違えたんだ。だったら、その道を正してあげる必要が僕にはある。
……彼ならまだ戻れる。
女子からモテモテで、何一つ生活に不自由していない彼なら。
だから、早く……僕を嫌いになって欲しい。
僕を好きだなんて、結局は嘘だったって気付いて欲しいんだ。
そう思いながら、僕は眠りについた。
次の日。
今日はシュウちゃんの講義が無いので、僕だけ大学へと向かった。
「黒瀬さん。」
「……何?」
あの日以来会っていなかった彼が、唐突に僕を呼び止めた。
「ねぇ……俺のこと、見てよ。俺…黒瀬さんしか要らない。世界中の全てを犠牲にしても…黒瀬さんだけが居ればいいんです…」
「なっ……!」
いきなり何を言うかと思ったら……何でこんなに恥ずかしいセリフを…!
と、思ったと同時に彼が僕の方に向かって倒れてきた。
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