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「えっ、ちょちょっ…!」
そして、僕はそのまま支えきれずに地面に尻餅をついてしまった。
「どうしたの?相澤君…って、凄い熱!!」
彼の身体は、熱に侵されていて…とても苦しそうだ。
「……ど、どうしよう…相澤君、家……何処?」
「……すぐ、近く…です…。ひ、一人で……帰れます。」
そう、彼が呟いた。
「いやっ…大丈夫じゃないでしょ!僕も一緒に行くから…お願い、住所教えて?」
到底彼を一人にして大学へ向かう程……僕だって酷い人間じゃない。
住所さえ教えてもらえれば、地図で目的地へ行く事は可能だ。
「……〇〇町、△△番地、??…です。…すみません……。」
彼は苦しそうに、でも……申し訳なさそうに今にも消えそうな声で呟いた。
「…分かった、気にしないで。」
そう言って、僕は彼の腕を自分の肩に載せて歩き始めた。
ケータイに案内を任せ、僕はひたすら歩く事だけに集中した。
―――身長の大きい彼を支えながら歩くのは僕にとってはかなりキツいものがあった。
だから、無駄な事を考えずにただ歩いた。
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