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素直に鍵を渡され、少し嬉しくなりながら、鍵を鍵穴に差し込んでドアを開けた。
「すみません…お邪魔します。」
「……っ…、」
確かに散らかっている。
僕は、床に散乱している物を避けながら…彼を部屋へと運んだ。
布団を敷いてある所へ、彼をゆっくりと寝かせ……僕は、タオルを探しに台所へと戻った。
―――にしても、凄い部屋だ。
……ってか、小学校の教科書が多いなぁ。もしかして、兄弟居るのかな?
タオルを見つけた僕は、タライに氷と水を入れ……そのまま彼の元へと向かった。
「タオル……勝手に借りたよ。とりあえず、冷やすね。」
「……あ、…りがとう……ございます…」
声を出すのも辛そうな彼を見て……僕は胸がきゅうっとなった。
「……お粥かなんか…作るね。あと…、飲み物とかゼリーとか……買ってくるから…」
そう言って立とうとした時だった。
腕を掴まれた。
力は、ほとんど入っていなかった。
振り解けそうな、弱々しい力だった。
―――けど、僕にはその腕を振り払う事は出来なかった。
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