第5章

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「……行かないで…、傍に居て……リン、…さん……」 掠れた、甘えたその声に……僕の思考は停止した。 そして……思わず泣きそうになった。 「……、っ……」 「…………」 そのまま、スッと彼の手から力が抜け…彼は眠りについたらしい。 僕は……暫く動けなかった。 ―――反則だよ。 そう思いながら、僕は食料調達へと向かった。 帰って来て、彼のおでこに乗せたタオルを冷やしてから僕はお粥を作り始めた。 「お前、誰だっ!?」 「「不審者!?誰っ!?」」 「あら?どちら様?」 お粥の味見をしている時に、そんな声が聞こえてきて……僕は慌ててその声のする方へと向きを変えた。 「す、すみませんっ!勝手に台所借りてしまって……。僕、相澤君の知り合いの黒瀬と申します。あの、今日は…相澤君が倒れたので、僕がこの家まで連れてきたんです。」 「えっ!?翔汰にぃちゃんがっ!?」 「「翔汰にぃちゃん、倒れたの!?」」 「あら…そうだったんですか!御迷惑お掛けして…すみませんでした。」 そう言って品の良さそうな、お母さん?が僕に向かってお辞儀をしてきた。
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