792人が本棚に入れています
本棚に追加
「……行かないで…、傍に居て……リン、…さん……」
掠れた、甘えたその声に……僕の思考は停止した。
そして……思わず泣きそうになった。
「……、っ……」
「…………」
そのまま、スッと彼の手から力が抜け…彼は眠りについたらしい。
僕は……暫く動けなかった。
―――反則だよ。
そう思いながら、僕は食料調達へと向かった。
帰って来て、彼のおでこに乗せたタオルを冷やしてから僕はお粥を作り始めた。
「お前、誰だっ!?」
「「不審者!?誰っ!?」」
「あら?どちら様?」
お粥の味見をしている時に、そんな声が聞こえてきて……僕は慌ててその声のする方へと向きを変えた。
「す、すみませんっ!勝手に台所借りてしまって……。僕、相澤君の知り合いの黒瀬と申します。あの、今日は…相澤君が倒れたので、僕がこの家まで連れてきたんです。」
「えっ!?翔汰にぃちゃんがっ!?」
「「翔汰にぃちゃん、倒れたの!?」」
「あら…そうだったんですか!御迷惑お掛けして…すみませんでした。」
そう言って品の良さそうな、お母さん?が僕に向かってお辞儀をしてきた。
最初のコメントを投稿しよう!