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「分かりました。ほら、朱里。お前も準備手伝え。」
「翔にぃが居ないからっていつもより命令口調止めてよね、來にぃ。」
そうブスッとしながらも朱里ちゃんは準備に取り掛かった。
僕はそんな兄弟を見つつ、お粥と飲料水を持って彼の元へと向かった。
「……相澤君、…起きてる……?」
「……。」
―――寝てるのかな。
「相澤君ー……起きて。とりあえず、ご飯食べて?」
「……んー…、」
彼は僕の声に反応した様だが……目は開いていない。
―――相変わらず、整った顔だ。
瞳を閉じた彼の顔は……少しあどけなさを感じる。
―――もう一度、彼の頬に触れたくて……僕はその頬に手を伸ばす。
ガシッ!
「……っ!?な、…」
「……あれ…?リン、さん…?」
急に腕を掴まれて……心拍数が上がる。しかも……無意識って。
「…あ、…相澤君、お粥……食べて?あと、水分も……」
「……ねぇ、リンさん。俺、夢見てんのかな?」
「…え?」
「だって……目の前には、あれだけ手を伸ばしても届かなかったリンさんが居る……」
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