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「あ、來夜君。お風呂ありがとうね。」
「……っ!いえっ!滉輝の面倒見てもらってこっちの方が助かりましたから。」
「良かった。……お母さん、いつ帰ってくるの?」
「母さんですか?…うーん、基本は12時過ぎですかね。」
「そっか、本当に大変なんだね…。」
「はい。……でも、母さんが具合悪い時は兄ちゃんが本当に大変だったと思います。」
「……翔汰、君が?」
「はい。……朝は誰よりも早く起きて新聞配達、学校から帰って来て、すぐにまたバイトに出掛ける…そんな日々だったんで。ご飯も、作ってる暇が無かったから…学校から持ってきてくれてたんです。」
「…?学校から?」
「はい。……兄ちゃん、モテるから…女子とかに弁当作ってもらってきてて……基本自分は食べないで俺らにおかずとかくれて。」
―――成程。やっぱり、あの頃からモテていたんだな…。
……と言うか、
「……良い、お兄ちゃんだね。」
相澤翔汰が、どんな人間で……どれだけ家族を大切にしているか、とか……今日だけで沢山分かった。
僕は……一体、彼の何処を見ていたのだろう。
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