第5章

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彼の瞳は、いつだって真剣だったじゃないか。 『リンさん、好きですよ。』 あの言葉に……僕がどれだけ救われたか、僕は忘れてしまったのか? 優しそうに微笑む彼。 あれは……本当に嘘の笑顔だったの? ―――僕は……勝手に自己解決して、彼に何も聞こうとしなかった。いや……ただ聞きたくなかったんだ。 『嫌いだった。』 と言われるのが怖くて。 でも、それじゃあ何も始まらない。 僕が動き出さないと……僕が、もう一度変わらなきゃ。 「…來夜君。」 「はい?」 「僕、今日のところは帰ってもいいかな?」 「えっ、でも…夜遅いし、母さんもまだ……」 「ごめん、急用が出来たんだ。……その代わり、僕の連絡先渡しておくね。」 そう言って僕は來夜君に自分のケータイ番号の入った紙を渡した。 「何かあったら教えてくれる?あと…、お兄ちゃんのケータイの番号……分かる?」 「兄ちゃんの?分かりますけど……」 「じゃあさ……彼には内緒で教えてくれないかな?…絶対に言っちゃダメだよ。僕との約束。」
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