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彼の瞳は、いつだって真剣だったじゃないか。
『リンさん、好きですよ。』
あの言葉に……僕がどれだけ救われたか、僕は忘れてしまったのか?
優しそうに微笑む彼。
あれは……本当に嘘の笑顔だったの?
―――僕は……勝手に自己解決して、彼に何も聞こうとしなかった。いや……ただ聞きたくなかったんだ。
『嫌いだった。』
と言われるのが怖くて。
でも、それじゃあ何も始まらない。
僕が動き出さないと……僕が、もう一度変わらなきゃ。
「…來夜君。」
「はい?」
「僕、今日のところは帰ってもいいかな?」
「えっ、でも…夜遅いし、母さんもまだ……」
「ごめん、急用が出来たんだ。……その代わり、僕の連絡先渡しておくね。」
そう言って僕は來夜君に自分のケータイ番号の入った紙を渡した。
「何かあったら教えてくれる?あと…、お兄ちゃんのケータイの番号……分かる?」
「兄ちゃんの?分かりますけど……」
「じゃあさ……彼には内緒で教えてくれないかな?…絶対に言っちゃダメだよ。僕との約束。」
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