第5章

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「……はい。」 ―――そう、ただ怖かった。真実を知る事が。目の前に突き付けられる……真実が。 「良いこと教えてあげよっか?黒ちゃん。」 「……?何ですか?」 「もし、今ここで俺が黒ちゃんにキスしたら……どうする?」 「……は?」 「言っておくけど、俺も黒ちゃんの事好きだし……俺にとっては今は絶好のチャンス。目の前には俺の狙ってる人、そして俺を邪魔する奴は誰一人といない。」 ―――そう言いながら、僕に近付いてくる……菅原さんの顔。 「……さぁ、黒ちゃんが今、頭の中に浮かぶ人は?今……目の前に居る、この俺?」 僕は、彼の顔を凝視した。 今、僕の頭の中に居るのは………… 僕の、全てを奪っていくのは…………。 「……っ、…」 フッと触れた、菅原さんの指が……僕の頬を拭う。 「……綺麗だね、黒ちゃん……」 菅原さんの瞳に映る、僕の顔。 ―――涙が、止めどなく……溢れる。 「……キス、しちゃいたい。」 「……へっ!?む、無理ですって!!!つか、ダメですっ!!」
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