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「……はい。」
―――そう、ただ怖かった。真実を知る事が。目の前に突き付けられる……真実が。
「良いこと教えてあげよっか?黒ちゃん。」
「……?何ですか?」
「もし、今ここで俺が黒ちゃんにキスしたら……どうする?」
「……は?」
「言っておくけど、俺も黒ちゃんの事好きだし……俺にとっては今は絶好のチャンス。目の前には俺の狙ってる人、そして俺を邪魔する奴は誰一人といない。」
―――そう言いながら、僕に近付いてくる……菅原さんの顔。
「……さぁ、黒ちゃんが今、頭の中に浮かぶ人は?今……目の前に居る、この俺?」
僕は、彼の顔を凝視した。
今、僕の頭の中に居るのは…………
僕の、全てを奪っていくのは…………。
「……っ、…」
フッと触れた、菅原さんの指が……僕の頬を拭う。
「……綺麗だね、黒ちゃん……」
菅原さんの瞳に映る、僕の顔。
―――涙が、止めどなく……溢れる。
「……キス、しちゃいたい。」
「……へっ!?む、無理ですって!!!つか、ダメですっ!!」
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