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「なぁ、兄ちゃん。」
「……何だよ。」
「……あの人、なんでしょ?兄ちゃんを変えてくれた人は。」
そう呟いた來夜を、俺は思わず凝視してしまった。
「なっ…何で……」
「……何となく、そうだったらいいなって…思っただけ。」
「來夜……。」
「……俺さ、あの人なら良いと思うんだ。兄ちゃん…好きなんでしょ?黒瀬さんの事。」
ジッと見つめ返してくる來夜の瞳に耐えられなかった。その瞳は澄んでいて……グラグラと揺れ動く俺の表情をしっかりと捉えている。
「俺は……」
「ただいまー……って、あれ?翔汰、起きたの?」
―――母さん……タイミング……。
「あれ?そして、黒瀬さんは?今日、泊まってもらうはずだったのに……」
「黒瀬さんは、何か用事が出来たって言って走って帰ったんだ。」
來夜が淡々と事実を述べる。
「あら、そうなの。残念だわぁ…せっかく朝ご飯一緒に食べようと思ってたのに。」
―――何か、やっぱり……リンさんって凄い。
俺が知らない間に……家族全員虜にするなんてっ……!!
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