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「翔汰。」
「…な、何?母さん……っ、」
「アンタ、イイ人見つけたわね。」
「……え?」
突然、母さんがそんな事を言うもんだから俺は思わず間抜けな声を出してしまった。
「黒瀬さん。」
「あっ……いや…」
「翔汰、何があったかは私は聞かない。けどね、幸せにしなきゃダメよ。」
「…………。」
―――そんな事を言われたって……俺にはリンさんを幸せする事は出来ないし、そもそも嫌われる様な事をしてしまった。
「あんな……優しそうな瞳を持ってる人、私初めて見たわ。」
「…うん……。」
―――俺も好き。あのリンさんの瞳に……自分が映っていて欲しいと思う。
「でも……何処か、寂しそうな彼の瞳を幸せに出来るのは誰?」
―――パッと思い浮かんだのは……あの、リンさんの隣にいつも居た友人。……確か、『シュウちゃん』とリンさんが呼んでいた。
あの人は、絶対リンさんを友達以上に思っている。……そんな瞳をしていた。
―――後は、この間たまたまリンさんに会った時に隣に居た年上っぽい男。……俺にはない、年上の余裕があった。
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