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―――柔らかで穏やかな口調。
こんな声をあの日から聞いたことが無かったから……思わず泣きそうになった。
「……リンさん…でも、俺に電話なんて……どうかしたんですか?」
あんなに俺の事を嫌っていたリンさんが俺に電話を掛けてくるなんて……よっぽどの事があったに違いない。
『……いや、ただ……具合どうかな、って……』
「あ……大丈夫ですよ。リンさん、俺の看病してくれたみたいで……ありがとうございました。お陰で熱も下がりましたし、少し喉が痛くて鼻水出るくらいですから。」
『……そっか、それなら良かった。ってか、僕が看病したの…覚えてないの?』
「あっ……えっと…すみません、はい。何となく、リンさんが居たってのは覚えてるんですけど……何か夢とごっちゃになってて。」
『夢?……どんな、夢?』
「えっ!?」
そんな事を聞かれるなんて、夢にも思ってみなかったので俺は一人で焦った。
「えっと……リンさんが家に居て……俺に優しい声、掛けてくれてる…みたいな?」
『……それ、夢じゃないよ。きっと……』
「え?リンさん、今なんて……」
『相澤君。もう一度、僕と会ってくれる?』
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