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「えっ……分かりました。」
「初めて、僕に会った時……あれはわざと?」
いきなり核心をつく質問に、俺はドキリとしながらも正直に話そうと決めた。
「…わざとというか、リンさんの後をつけていました。理由は、早いうちに貴方と接触しておきたかったからです。」
「それは……僕がターゲットだったから?」
「……はい。その前に、俺のその時の事情を話しても…いいですか?」
―――言い訳っぽく聞こえてしまうかもしれない。……けれど、リンさんには俺の全てを知って欲しかった。
「いいよ、いくらでも聞くから。」
「……っ、ありがとうございますっ…!……あの時の俺は、生活に苦しんでいました。朝のバイトだけじゃ全然足りなくて……違うバイトを始めようと思ってた時、高校の友達にバイトを紹介して貰ったんです。」
「それが……」
「……はい、『幸せの運び屋』です。仕事内容は、依頼人の喜ぶ事、望む事をとにかく叶える事。それが俺達の仕事です。俺は、このバイトにやり甲斐を感じたし、何より……給料が完全出来高制だったので、俺にとってはとても嬉しいものでした。でも……ある日、リンさんの母親が依頼をして来たんです。」
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