第1章

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9時半になって……ようやく急がなければならないと気付いた僕は、一応用意してあった服を急いで着ると、そのまま家を出た。 ―――ただ、不安だった。 誰がどう聞いたって、おかしいと感じる僕の今の現状に僕自身も夢を見すぎているのではないかと思い始めてしまった。 駅前に付いたのは……10時ちょっと過ぎ。 待ち合わせに遅れないと約束したのに……少し遅れてしまい、翔君が居る場所をキョロキョロと探した。 「黒瀬さんっ!こっちです!!」 少し遠い所から聞こえた、僕の名前を呼ぶ声……。 振り返ると……其処には私服姿の翔君が僕に向かって手を振っていた。 「……ごめんなさいっ…!ちょっと遅れちゃって……」 「遅れないって言ったじゃないですか。……あぁ、焦った…。来てくれないかと思った……」 「えっ?ど、どうしてっ…?」 「だって、黒瀬さん…待ち合わせとかに遅れなそうな人じゃないですか。だから……来ないのかと。」 そう言って、苦笑した翔君に……僕の心の中は罪悪感で満たされた。 「本当にごめんなさい……。迷惑かけて……」
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