最終章

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「……そうですか。実は、その後……俺はリンさんの母親に宣戦布告しました。」 「…そう、なの?」 「……はい。『お金なんかいらない、俺は貴方の息子さんが好きです。俺に、貴方の息子さんを下さい!』って……。あの時、本当に俺はお金なんか見えなかった。ただ……リンさんしか見えてなかった。けれど、分かりますよね?」 「……お金、渡されて…消えろ、とか言われた…?」 ―――当たっていたので、思わずプッと吹き出してしまった。 「……はい。それでも、俺は……リンさんを諦めたくなかった。母親に何と言われようとも……俺がリンさんを幸せにしてやるって…そう思ってたら、リンさんからメールが入ったんです。」 「……うん。」 「嬉しかったです。……リンさんから連絡くれる事ってそこまで無かったし、何よりリンさんと会えるのが楽しみ過ぎて……浮かれていました。そしたら……」 ―――別れを告げられた。俺が、何時までも真実を話さないから。リンさんが必要とする時に……隣に居れなかったから。結局、幸せになんかしてあげれなかったから……。 「今なら言えるんです。あの時の俺は……本当に馬鹿で、何も考えてなかった。自分の事しか考えられないガキだった。」
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