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「確かに……相澤君は僕に嘘をついた。その事実は変わらない。」
「……っ、…はい……。」
「……でもさ、相澤君が僕に嘘をついていなければ、僕と相澤君は一生出会えなかったのかもしれない。」
そう言って、リンさんが抱き締めていた腕を緩めて……俺の頬を両手で包み込んだ。
―――その突然の行動に、俺は動揺を隠せずに顔を真っ赤にさせた。
「そう考えたらさ、理由はどうであれ……出逢えた事に感謝すべきなんじゃないかな?ねぇ、相澤君。僕等は沢山回り道をして来た。だからさ、もう良いと思うんだ。」
「……?」
俺が疑問に思って首を傾げていると……リンさんの顔が近付いてきた。
―――長い睫毛だなぁ……なんて、ぼんやり思っていたら唇に柔らかい感触が。
…………って、えぇぇっ!?!?
おおお、俺……もしかしなくてもリンさんとききき、キスしてるっ!?
唇が名残惜しくも離れていった時……目の前に居るリンさんの瞳から、綺麗な涙が零れ落ちた。
「今まで『嫌い』なんて言って……ごめんね。…………大好きだよ、翔汰君。」
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