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「あ……そう言えば。何か……声聞きたいなぁって何となく思って、何も考えずに電話してました。」
―――そうだった。俺……ほとんど反射的に電話してた。
『何で……そんな事、言うかなぁ……照れるよ…。』
語尾がどんどん小さくなるリンさんに思わず頬が緩む。
「……可愛い、リンさん。」
『……可愛いしか言えないの…。あ、そうだ。さっきメッセージ送ったんだけど……』
「母親の事ですよね?俺は大丈夫ですよ。いつでも。」
『ホント?じゃあ、来週の土曜日に。僕の実家で話すことになってるから……迎えに行くよ。』
「あの、リンさん!」
『ん?何?』
「俺の事は話したんですか?」
『……いや、話してないよ。会わせたい人が居るとしか言ってないから、多分勘違いしてるんじゃないかな。やっと、僕が結婚してくれるってさ。』
「……そうなんですか。」
―――結婚、という言葉を聞いて……その選択肢を無くしたのはこの俺なんだなと改めて思わされた。
『ねぇ、翔汰君。僕は君だからずっと一緒に居たいと思ったんだよ?……だから、あの人に何と言われようと僕は翔汰君と一生を過ごす。それが、今の僕の望みだから。』
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