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我慢出来なくなった俺は、リンさんの指に自分の指を絡めた。
「……!?ちょっ…!」
「しーっ…此処、人通り少ないですから……少しだけ、繋いでましょう?」
「……ちょっとだけ、だからね…。」
―――その手は、とても暖かかった。
その後、すぐに大通りに出たので俺たちは手を離しひたすらリンさんの家を目指した。
電車に乗り、歩き……そして、辿り着いたのは…………豪邸だった。
―――思わず、引く程の。
「……でっか…………。」
俺が思わず呟くと、リンさんはフッと笑い……
「……ただ、大きいだけの家だよ。」
そう言ったリンさんの顔は……初めて見た時のように寂しい表情だった。
「じゃあ……僕が入って来てって言ったら入って来てくれる?」
「……分かりました。」
大きな豪邸の中に入れられ、俺は恐らく居間?の前で待機させられることになった。
―――部屋からは何も音が聞こえない。……今、リンさんは何を話しているんだろう。
……5分ぐらい経っただろうか。部屋のドアが開き、リンさんが俺に声を掛ける。
「入って来て、翔汰君。」
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