792人が本棚に入れています
本棚に追加
そう、小さな声で呟いた。
掠れた、声だった。
「ふざけんなっ…!!!」
―――その声を発したのは……まさかのリンさんだった。
俺は耳を疑い、リンさんに目を向けると……彼は母親に掴みかかっていた。
「アンタが……僕の事を見捨てたんじゃないかっ!!僕が…どれだけ寂しい思いをしたか知ってるくせにっ!!今更そんな事言ってんじゃねーよ!!!」
リンさんの口から出るような言葉では無かった。
―――でも、リンさんは涙を流しながら捲し立てた。
「アンタなんか……大ッ嫌いなんだよ!!!お前のせいで……僕は、…僕はっ……!」
そう言って崩れ落ちそうになったリンさんを後ろから抱き留める。
「リンさん……」
「うっ…っ……、ふぅっ…!」
母親は、固まったまま動かない。
「……貴女は言いましたよね?俺に。」
「…………」
「……『息子に、愛を教えてあげて。』って。俺は、貴女の代わりに愛を教えました。そして……俺自身もリンさんに出逢って、愛を知った。……貴女は、リンさんを愛せなかったんじゃない。愛し方を知らなかっただけだ。」
最初のコメントを投稿しよう!