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俺も、『愛』なんて知らなかった。
―――でも、リンさんが居たから。……リンさんに出逢えたから。
「……それは、今からでも遅くないんじゃないですか?ちゃんと、自分の息子に向き合って……自分の弱さを知って、お互いに何でも話せるようになって初めて……『愛』が成立するんです。」
「だから……リンさんも。ちゃんと向き合ってあげて。二人には、会話が必要だと……思うから。」
「……翔汰君…。」
「凜太朗。」
リンさんの母親が、やっと動き始めた。
「……ほら、リンさん。」
床にへたりこんでいるリンさんを立ち上がらせ、母親に前に立たせる。
「……っ…」
―――すると、母親は……
90度以上に頭を勢いよく下げた。
「凜太朗…っ!ごめんなさい。私が今までしてきた事は許されない事だわ……けど、凜太朗の口から親子の縁を切るって言われた時、どうしようもない気持ちになった……!ワガママだって分かってる!けど……もう一度貴方とやり直したいっ…!」
「……僕は…。」
そうリンさんが言いかけた瞬間……母親がリンさんを抱き締めた。
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