最終章

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「許してなんて言わないっ…!だから……もう一度だけ、私にチャンスを下さい……。」 縋り付くような、母親の声。 ―――リンさんは…………。 母親の背中に手を回した。 「……っ…!」 「約束、したからっ……今度破ったら……絶対に縁切ってやる……」 そのリンさんの顔が……嬉しそうで、幸せそうで……これでリンさんは心から笑う事が出来るんだな、と改めて思った。 「……ありがとうね、翔汰君。」 何となく、親子で会話して欲しいと思った俺は帰ろうとして家を出ると言うと……リンさんが少し送ってくれると言ったので玄関へと向かった。 「……あのままじゃ、本当に縁切りそうだったんで。あんなリンさん……見た事無かったですもん。」 ―――本当にびっくりした。あんなにリンさんでもキレるんだなぁと思った。 「ふはっ…ごめんね、迷惑かけて。本当に……ありがとう。」 そう言ってフワッと笑ったリンさん。 ―――綺麗だ。 「全部、無くなりましたね。」 「え?」 「ほら、瞳が……」 そう言って……リンさんの頬に手を当てた。
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