第1章

23/32

792人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
科学技術に頼りすぎた、日本の未来は。 ―――この物語のテーマはそこにある。 僕は、小説の中を完璧に描いた映画の世界に……前のめりになって画面を見つめた。 『……俺は、もうこんな世界は御免だ。なぁ…、だからお前も一緒に此処から消えよう。』 『私はっ……もう、この技術から逃げる事は出来ないっ…!』 『分かってるだろっ!?今の技術は……俺達に何ももたらさない。』 『それでもっ……!』 科学技術に頼りすぎたヒロインと、何とかこの世界から逃れようとする主人公。 最後が分かっていても……こんなに惹き込まれるのは、恐らく小説を忠実に再現していてなおかつ、二人の演技が素晴らしいからだろう。 パァァンッ……! 映画館内に、主人公がヒロインの頬を叩いた音が響き渡る。 『目を覚ませ!もう一度……俺達で創り直すんだ。あの幸せだった日本を。……あの、狂っていなかった時代を。』 『……狂っているのは、貴方のほうよ。』 『えっ…、おい!やめろっ!』 『……私は、もう愛も捨てたの。だから、永遠にサヨナラ。』
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

792人が本棚に入れています
本棚に追加